104  今日わたしと一緒に


「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」

(ルカ福音書 23章43節)


 この言葉は、十字架につけられて苦痛のただ中におられるイエスが、隣で十字架にかけられている者に言われた言葉として、ルカが伝えているものです。しかし、この言葉は、自分と一緒に十字架につけられているという特別の関わりの中にいる者だけに言われた言葉ではありません。これは、イエスがいつ誰に対しても言おうとしておられることを、死に直面した極限の状況においてさえも貫かれた言葉として、ルカが伝えたものです。

 イエスは誰に対しても、「わたしはあなたと一緒にいるのだ」と語りかけておられるのです。いつ誰に対してもこのように語ることができるのは復活されたイエスです。福音はイエスが復活されたことを宣べ伝えて、そのイエスが御名を信じる者と一緒にいてくださることを保証するのです。

 マタイは、復活されたイエスが弟子たちに現れて、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と約束された言葉で、その福音全体をまとめます。ヨハネは、最後の夜にイエスが弟子たちに語られた遺訓の中で、聖霊という形で復活者イエスが弟子たちの中に「同伴者」として生き続けることを約束されたとしています。そしてルカは、この約束の言葉を十字架の死というもっとも劇的な場面に置くのです。

 死に直面している者にイエスは言われます、「あなたは今日わたしと一緒にパラダイスにいる」。死後の世界であるパラダイスがどのようなものであるのかは知りません。イエスと一緒にいるところがパラダイスです。彼方の世界に歩み入る「今日」、そのこちら側でもあちら側でも、「わたしはあなたと一緒にいる」というイエスの声が聞こえます。その声こそ、死を打ち破られた復活者イエス・キリストにほかなりません。

 同じことをパウロはこう言っています。「主は、わたしたちのために死なれましたが、それは、わたしたちが、目覚めていても眠っていても、主と共に生きるようになるためです」。わたしは破れ果てた姿のままで、わたしを愛し、わたしのために死んでくださり、こちら側でもあちら側でも一緒にいてくださる主イエスの御名をひたすら呼び求めるだけです。

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